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ジョナフェ・キャンプ感想文集

無から有を創造するごとく  チェ・ジョンチョル

人は誰しも、意志と理想を高く明るく常に持っていなければならない。そして、その理想を追求して行く道程は、水が流れ落ちて行くがごとく、自然に行なえるのがちょうどよい。変化の「逆流」に抗っているうちに、その中で漂流してしまってはいけない。私たちは、むしろ、その「逆流」を掻き分け、克服しながら進むという努力を積み重ねるうちに、自分の未来を開拓して行くべきだろう。そして、その幾多の努力が引き集められれば、やがて「時代の進運」が形成されて行くもの…。そうすれば、それらは自身の未来へと進む道程の途上に、さらに「深み」を与えてくれることとなるだろう。
真実は強い武器となり、城壁となる。虚偽と欺瞞は、ただ真実の前に降伏するのみ。傲慢と恐怖は真実の前から取り払われるのだ。我々のこの険悪な世代は真実を蔑視し、欺瞞と虚偽とを賞賛しているけれど、最後の勝利者は、ただ真実のみを心の中に抱いている人。月桂冠も真実のみが得ることができる。
愛というものは、孤独とは矛盾関係にあるという。すべての孤独は、愛の欠乏からやって来ることで、孤独は絶望へと繋がり、愛は希望へと繋がって行く。だから、人間は幸福になるためには、愛を常に探し求めていなければならない。でも、愛など不如意で、不条理なものはない。愛がわからないことも孤独で不幸だけど、愛ばかりになると、これはもっと深くて、怖くて、苦い杯を飲み続けなければならないことになる。
私たちが歩いて来た、過ぎし日の道程を振り返りながら体験を思い起こしてみるのは、今の自分自身の生活を貴重なものとするためには大切なことであるし、また、今日を賢明に暮らすための智恵でもある。私たちには、実に雄大な将来への夢と希望がある。長い冬の歳月があったればこそ、秋の実り豊かな収穫の時を期待することができるのだ。
こんな取るに足らない私だが、何かを確信する時には、自分自身、決して勝手を許さない、そんな節制の中で生活を送るということもしている。すべての生成と情熱を傾けて、無から有を創造するごとく…。

[チェ・ジョンチョル、1990年〜1992年、ジョナフェ・サークル誌]

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