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ハンセン病療養所医療過誤訴訟、国が控訴決定

国立ハンセン病療養所多磨全生園(東京都東村山市)の医療過誤訴訟の判決が2005年1月31日、東京地裁であった。国に損害賠償を求めた原告、山下ミサ子さん(仮名)の全面勝訴となった。療養所内の医療ミスを訴えた訴訟は、日本の裁判史上初めてのケース。勝訴したものの、山下さんは今でも重い後遺症に苦しんでいる。顔の表情が失われ、歩くのさえ痛々しい。

佐藤陽一裁判長は、1981年〜1992年の担当医の医療について「1981年に原告に現れた症状はハンセン病の再発と認められるのに、正確に診断しなかった。適切な診療がされれば、後遺症をまったく生じさせずに治療できた」と判決文の中で指摘している。裁判の中で、原告側証人として出廷した、ハンセン病の専門医和泉真蔵医師、並里まさ子医師の意見が、そのまま認められたことになる。和泉医師は「自分だったら100%治せる」と言い切っている。並里医師は1992年から原告の治療を担当し、2年間で原告の病気を治した。

また判決では「日本のハンセン病の診療活動が、らい予防法で国立療養所にほぼ独占され、新しい情報を積極的に取り入れる機会が乏しいまま、その歩みを停滞させたことが背景にある」と批判している。

原告の訴えが遅れたことについても、強制隔離主義のらい予防法によって作られた偏見や差別が根強く残る中、しかも病院や医師を選べない立場の原告が、あえて訴訟に踏み切ることについて、「なみなみならない決意に基づくものであったろうことは、容易に想像しうる」と、その置かれた状況について理解を示し、時効を主張した被告国に対し、権利の濫用と断定している。

8日午前、原告、社会復帰者、弁護団、支援者20人が厚生労働省を訪れ、控訴を断念するよう要請した。代理人の内藤雅義弁護士は、「原告の全面勝訴判決が出たが、当然のこと。そもそもこれほど明らかな医療ミスを、国が裁判で争うこと自体おかしい」と言った。入所者の一人は「この医療問題について、全生園では正しい情報が知らされていません。自治会は黙ったままです」と訴えていた。厚生労働省がこの問題について入所者、社会復帰者から直接話を聞いたのは、今回が初めてだという。8日、全国ハンセン病療養所入所者協議会は尾辻秀久厚生労働相に「控訴断念」を申し入れた。

しかし、9日、国は早々と控訴を決めた。原告の山下さんは「最後まで闘う」と覚悟を決めている。

[2005年2月9日更新、八重樫信之]

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