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中国のハンセン病と日本の協力 ―NGOの立場から―

将来への期待―社会をかえる力を

中国社会の目覚しい変化は経済面の成長ばかりでなく、社会の成長も伴っている。政府当局の指導を待つまでもなく、社会の不正に眼を背けない世代が育っているように思われる。多くの事例を挙げることができないのは残念であるが、西尾雄志氏の別稿にある、青年たちのワークキャンプを通したハンセン村の人々との交流活動「JIA」※14は、キャンプに参加した青年たちを変え、村人たちを変え、その先の社会を変えていくエネルギーを秘めている。従来のNGOの殻を破る新しいスタイルであり、注目している。

前述のハンダ(漢達康福協会)も啓発活動の場を広く一般の市民と交流する場に求めつつある。中国では病気としてのハンセン病が社会から姿を消して久しい。社会の人々はハンセン病を知らない。たとえ知っても、迷信に他ならない何十年まえのイメージがよみがえるだけで、忌避する。その一方で、社会の中で息をひそめて生きる回復者たち、山間僻地の村で社会から隔絶されて生き続ける回復者たち。少しずつこの壁を崩す力が育ってきている。そして壁を崩す作業を通して、自らの側の内なる壁に気付き始めた人々がいる。この過程を推し進め、中国の社会とハンセン病の関係を根底的に変えることができるのは、中国が生んだ自らのNGOの成長に待たなくてはならない。中国社会の成長は、国内のNGO活動を発展させる十分な財政的、人的可能性をもっている。つまり、中国自体にNGOを生み育てる力が十分にある。しかしながら、最も必要な財政基盤を整備するために国内で募金活動をするには、制度面で相当高いハードルがある。大胆な規制緩和で、有意のエネルギーの組織化が可能になることを期待したい。

(14)JIAは中国語で「家」の文字をあてる。「家族」をあらわす。ハンセン村でのワークキャンプに関わるすべての人々―村人・ボランティアの学生たち・準備に関わるNGOのメンバー・周辺の住民―みんな作業と生活の共有を通して「家族」となる。参照:「若者、『ハンセン病』に出会う」早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター発行


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[山口和子(笹川記念保健協力財団 常務理事)、原典:日中医学(財団法人日中医学協会、2005年5月発行)、2007年3月24日]

※この記事は、日中医学協会の許諾を得て転載したものです。
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